コイツに恋するなんて


ダメだって分かってる



だって惚れた方の負けって言うじゃない?



だったらコイツは危険すぎる







だって










悪魔をも騙す









ペテン師だもの―――‥










Bitterなお年頃










立海大附属中学3年 仁王雅治は自他共に認める【詐欺師】

彼に掛かれば悪魔でさえも思いのまま



そんな彼に恋するなんて






危険な香りしかしないじゃない




しかもしっかりと可愛い彼女持ち






「仁王――。今日2人で日直だからね」

「プリッ」

「いや、意味分かんないし」

「……つれないのぉは」

「名前で呼ぶなって」




そう言って軽く頭を小突く
だけどそれはただの照れ隠し
名前を呼ばれて嫌なわけじゃない。寧ろ嬉しい



嬉しすぎて隠してる気持ちが露骨になってしまわないように
自分で自分の気持ちに蓋をする





だって気持ちに気付かれたら危ないでしょ?
なんてったって彼は詐欺師様
恋の罠なんてお手の物




「じゃあ勝負せんか?」

「はぁ?」

「俺が勝ったらお前さんを名前で呼ぶ。お前さんが勝ったら今日の日直の仕事は全部俺がするぜよ」







明らかに、勝つ気満々じゃん
誰がそんな勝負するかっての


負けると分かってて勝負する馬鹿が何処に居るのさ






「逃げるんか?」

「その手には乗りません」

「残念」

「彼女に誤解されるでしょ―?」

「大丈夫じゃよ」

「女の嫉妬ほど恐いものはないの」





これはホント
女の嫉妬ほど醜くて恐いモノはない






「フッ……まぁ良いぜよ」







うむ、やっぱりカッコいい

怪しげに微笑む姿も様になるなんて…
神様は不公平よね

顔も良いし、勉強だって授業寝てても学年上位。
おまけにテニスも全国区で変装の名人


一物も二物もそれ以上与えられてるじゃない



きっと片想いとか失恋なんてしたコトないんだわ
そういうモノには無縁だと思う



「良いよね、仁王は。」

「何がじゃ?」

「苦労とかしなさそうで」

「失礼じゃなのぉ‥苦労してるぜよ」

「どんな!?」

「好きな女がかなりの勘違いさんでのぉ‥しかも疑り深い」

「それは仁王の日頃の行いが悪いからじゃない?」

「プリッ」



彼女、甘えたで素直な子だと思ってたけど疑り深いんだ‥意外だわ
健吾‥あ、幼馴染みね!
健吾が言うにはかなり甘えたですぐ人を信じる子って言ってたけど演技なのかしら‥?





「仁王くん!今日ね、一緒に帰ろっ!!」





噂をすれば影。
昔の人がいう事って迷信むが多いけど、これだけはほぼ確実に当たるのよね
なんでこう、タイミングよく来るのかしら
まさか四六時中見張ってるんじゃないでしょうね?



「無理じゃ」

「なんでぇ?今日は部活お休みなんでしょ?」

「先約があるんじゃよ」

「……誰?」

「こいつ」



今日部活休みなんだ。よく知ってるなぁ‥さすが彼女なだけあるわ
仁王も帰ってあげればいいのに、折角朝早くから来てお願いしてるのに
先約なんかより彼女優先するものじゃないのかな?
女の子の場合は友情より恋をとる子多いのにね



………って先約って私!?



いやいやいや、約束した覚えないんですが!?
なに勝手に決めちゃってるの?私が恨まれちゃうじゃん!!
止めてよ!!



「ちょっと、アナタ仁王くんとどう言う関係?」

「えっ!?クラスメイト兼今日の日直同士ですが?」

「そう……」



睨んでる、睨んでる。怖いよ〜
ってか、仁王笑ってんな!!手で口を覆っててもバレバレなんだ!!
そりゃ、変な回答した自覚はあるよ?
でもさ、ホントのことだし笑うなら堂々と笑え!!



「じゃあ、日直の仕事一人でしてよ。それぐらい出来るでしょ?そしたら仁王くんは私と帰れるんだし」

「はぁ?」

「文句あるの?」



ある。大いにある
なんで私がアンタの為にそんな面倒くさいことしなけりゃならんのだ
第一彼女だかなんだか知らないけど、それが人に物頼む態度か?



「じゃあ貴女と仁王で日直すれば?一緒にいられるんだから、これで円満に解決じゃん?」

「なんで私が?そんなの貴女みたいな人がする仕事じゃない」

「なっ!?」

「それに、貴女みたいなのが仁王くんに釣り合うとでも思ってるの?」

「!?―――――ッ」

「隠してるつもりかもしれないけど、バレバレよ。諦めたら?」

「悪い‥‥?」

「……?」

「確かに私は仁王が好きよ?だからってアンタにとやかく言われる筋合いはない」



グイッ



「に、仁王くんも言ってあげたら?迷惑だって」




パシン




「「!?」」

「触らんで、鬱陶しい」

「ちょっ、どうしたの?」

に何か言える立場なんか?違うじゃろ」

「なっ!?なんで名前で呼んでるのよっ!私のことなんて苗字すら呼んでくれないのに」

「……はぁ。とんだ勘違い娘で困るのぉ‥俺はお前さんと付き合った覚えはないが?」

「!?だって……みんなお似合いだって‥」

「他の奴らの噂なんて、俺の知ったことじゃないけぇ。お前さんに好きとも言った覚えもない」

「――――ッ!!」

「もう遊びは終わりじゃ。から告白も聞けたしの。バイバーイ」

「最低!!」





何が起きたんだ?
頭での整理が追い付かない…




「何、難しい顔しとぉ?」

「えっ‥あの、仁王はあの子と付き合ってるんじゃ…?」

「俺は付き合ってると言った覚えはないが?」




嵌められた‥!!
確かにコイツは一度たりとも付き合ってるとは言ってない
むしろ、あの子の名前すら出してもいない

それどころか、さっきのセリフ
から告白も聞けたしの。』
私に告白させる為に最初から仕組んでたの?


甘く見てた……ペテン師と呼ばれてても所詮は中学生
こんな先のことまで読んでるとは思わなかった




「嵌めたのね…?」

「一種の作戦と言ってくれんか?」



その笑顔が憎たらしい!!
勝ち誇ったようなその笑顔が!!



「さっきの言葉、嘘じゃないよな?」

「〜〜〜ッ」

「俺もが好きぜよ」



私はコイツに勝てる日が来る気がしない
絶対に人の裏の裏まで見透かして、自分の思う通りに物事を運んじゃうんだ


だけど、好きだと思ってしまう自分が一番憎たらしい




自ら負けを認めてしまってるんだから―――‥





fin





光風 藍那様より相互記念として頂きました!

もう、仁王が素敵過ぎです…////(鼻血/きたねぇ

仁王に騙されてみたい!という気持ちが5割り程増しましたvv

藍那様!素敵な夢をありがとうございました!

相互、ありがとうございます!