もしかしたら 本当のサンタクロースは貴女の傍に…?
「さぶー!クソクソ、体が上手く動かねぇよー;」
「あー、もうちょっとで1年も終わりかー…早ぇな…」
「さぶ…あ、ねむ…Zzz…」
「あかん!寝たあかんでジロー!起きやー!」
寒い寒い冬の、部活のワンシーン。
拝啓 サンタさん。
「よし、アップは済んだな。試合だ!忍足と慈郎、第1コートに入れ」
「はーい!今日はシングルスかぁ…負けねぇぞー?忍足!」
「ジローは試合になると起きるんやな…;」
「よっしゃあ、行くぜー!忍足負けたら明日ジュース奢ってほC〜♪」
「アホ言いなや!もう今月ピンチなんやで、俺!」
「次、第2コートに宍戸と岳人、入れ」
「おっしゃあ!今日こそ宍戸に勝ってやる!」
「おう、いくらでもこいよちびっ子」
「クソクソ!俺はちびっ子じゃねーっ!」
冬の風が冷たいテニスコートに俺の声が響いた。
あと少しで1年が終わる。
年末のこの忙しさは半端なもんじゃねぇ。
部費の決算報告書、生徒会の決算書、次年度の予算案…やることはまだまだある。
それこそ、名前の通り"山積み"状態だ。
部活を指揮しながらも、書類チェック。
その隣でスコア付けをしていた がポソリと零した。
「もうすぐクリスマスかぁ〜…」
「あぁ…そうか、12月だもんな」
「去年は景吾ん家でパーティーしたよねー!」
楽しかったなー、と笑って言う 。
あぁ、楽しかっただろうな。
酔っ払ってあれだけ騒ぎまくりゃな。
は去年家で開いたパーティーで、ジュースと間違えてワインか何かを飲んだらしく、
かなり酔っ払って大変だった。
忍足には絡み酒、慈郎には泣き上戸になり、
岳人には笑い上戸になって、俺には甘えたでべったりだったな…。
そういや 、お前あの時何言ったんだよ?
忍足泣いてたぞ…?
よほどキツイ事言ったんだな…。
"俺、ホンマに…っ、テニス部で…氷帝で、やってけへん…(泣)"っつってたしな;
「ね、今年も景吾の家でパーティーやるの〜?」
「あぁ…お前がやりたいならやっても良いぜ」
「ホント!?やりたいやりたい!騒ごう!!」
「ただし、お前の傍に飲み物は置かねぇ。」
「えー!?やだよ、何それーっ!」
「飲みたいときは傍にいる誰かに言え。取ってやるから」
また前みたいにジュースと何か間違えて飲んで、酔っ払われると大変だからな。
…あ?何でワインがあったのかって?
父さんと母さんが飲んでたんだよ、二人で。
俺も飲むから執事に言って持ってきて貰った。(堂々)
「今年も跡部んちでパーティーだって?」
「ねー、今年はプレゼント交換したEー♪」
試合を終えた奴らが続々と戻ってきた。
誰かサンタの格好して来いだの、料理は豪華にしろだのって勝手に話を進めてやがる。
おい…開くのは俺の家だぞ?
俺を話に混ぜろよ!寂しいだろ…!(本音)
「俺今年はケーキ3段が良いな!」
「誰かサンタの格好して来いよ!雰囲気出るじゃんか!」
「プレゼント交換したE−!」
「高いのは勘弁したってや(笑)」
は今年どんなのが良い?と聞かれた 。
景吾と過ごしたいvなんて言ってくれたらな…言うわけねぇってわかってるけどよ。
「 はー?やっぱ去年よりは豪華にしたいだろ?」
「うーん…あ!あたしサンタさんに会いたい!!」
「「「「「はあぁ!?」」」」」
いや、言ってる事は可愛いんだ。
可愛い事を言ってる も可愛いんだ。
けど…俺にレギュラー全員サンタ村へでも連れてけと言うのか!
…いや、 のためなら出来る!(出来んのかよ)
サンタさんに会いたいと言った に便乗して、ジローや岳人までもがサンタに会いたいと言い出した。
…これは本格的に連れて行く計画を立てなきゃ駄目か…?
「俺も会いたいなー!ばふって抱きつきたい!」
「お子ちゃまはデパートにいる偽者のサンタさんにでも会って来いよ(笑)」
「るせーっ!クソクソ宍戸め!!」
「俺もサンタさんに会いたいCー!」
フィンランド?のサンタ村にいるサンタさんって、日本語すこし話せるんだよね〜、
とジローが呑気な声で話してたら、 がきょとんとした顔で言った。
「サンタさん、フィンランドにいるの?…フィンランドから何時間くらいかけて日本まで来るのかなぁ…」
「何時間って、まぁ飛行機やしなぁ…そんなにかからんのとちゃう?」
「え?違うよ!サンタさんはソリで来るんだよ!!」
「「「「「(えええぇぇ!?)」」」」」
え…嘘だろ? …。
お前、絵本の中でトナカイの引くソリに乗って空を駆け巡るサンタだと思ってんのか?
つーか、本気でそんなサンタが実在すると信じてんのかよ。
…ま、まぁ、夢があっていいんじゃねぇの…;
の本気でサンタを信じてる姿に驚く俺達に、
はある物を取り出した。
「ほら!サンタさんに欲しい物書いた手紙もちゃんと書いたんだよ☆」
「え…!?あ、うん…読んでくれるといいね、
…」
おいおいおいおいおい!
小学生か、お前は…!
一人楽しそうにする の周りで唖然とする岳人と忍足。
引きつって苦笑いしながらも に合わせているジローと宍戸。
が今だに空をソリで駆け巡るサンタがいると信じてるとはな…どこまで純粋なんだよ。
つーかお前の友達は誰も教えてくれなかったのか?
諭す様な口調で不意に忍足が に向かって言った。
「 、あんな… の考えとる様な、空をソリで飛び回るサンタさんっちゅーのはな、
ホンマはい「聞け!去年に続き、今年も俺様の家でパーティーだ!」
「ちょっ、跡部!;」
やっぱり駄目だ!
俺も一瞬忍足の様に、そんな夢みたいなサンタはいねぇと教えてやろうかとも考えたが…
の夢をブチ壊すわけにはいかねぇ…!
俺達にそんなサンタはいねぇと言われて夢を壊され、ショックを受けて悲しむ
の顔なんて見たくねぇ!
俺は の笑顔が見たいんだよ!
「なんでホンマの事言わんの?」
「なんでもへったくれもねぇよ。俺は の悲しむ顔は見たくねぇ…それだけだ」
「はあ…悲しむ顔、なぁ…」
だからテメェが本当の事言うと が…と、忍足と宍戸に説明してやってる俺の横で、
早速ジローと岳人が手紙に書いてあるだろう欲しい物を聞き出していた。
「なぁ 、サンタにはなんて手紙書いたんだよ?俺に教えてミソ?」
「やだ、教えなーい(笑)内緒〜♪」
「ちょっとくらいEじゃん、 ー!何々、服?食べ物?あ、アクセとか?」
「違うよー、でも服っていうのは近いかなぁ。」
「なんだよ、新しいブーツとかか?」
「残念でしたぁ!んとね、コート欲しいの!あったかいやつ!」
コート、ね…。
しょうがねぇな、サンタを信じてる の為に一肌脱いでやるよ。
今年のクリスマスもどうせ俺の家でパーティーだ。
だったら を泊まらせて、眠った頃に俺がサンタになってやるよ。
他のヤツらはトナカイ役で十分だ。
コートにプラスして、とっておきの最高級のプレゼントを
にやるよ。
ま、楽しみにしてるんだな、 …。
今年のクリスマスは 一味違うぜ
親と違って親がサンタだ
お前の欲しい物、俺からプレゼントしてやる
その変わり、勿論……
俺へのプレゼントはお前だよな…?
Fin.
************ オマケ ***************
―――クリスマスパーティー当日
パーティーも終わり、 が寝静まった午前1時…
の寝ている部屋のベランダに人影が…。
「(小声)岳人ーっ、 は寝とんのかー?」
「(両手で大きく丸を作り“寝てる”の合図)」
「よし、鳳、宍戸。ええで」
「おう/はいっ」
鳳と宍戸が引っ張って支えている命綱を頼りに、ソロソロと跡部は家の壁を伝っていく。
着いた先は の寝ている部屋のベランダ。
そこには先程中の様子を窺った岳人に、ジローも待機していた。
「(小声)音たてない様に静かに開けといたから入っていいよ、跡部」
「(小声)よし、よくやったジロー」
そっと窓を開け中に入ると、ベットですやすやと眠る
。
ベットサイドテーブルには、サンタへの手紙が置いてあった。
あどけない穏やかな寝顔。
自然と跡部の頬も緩み、笑みが零れた。
プレゼントをテーブルに置き、目覚めない様に甘いキスをひとつ。
「…Happy Merry X'mas.」
愛しげに髪を一撫ですると、置いてあった手紙を掴んでカーテンを静かに閉め、部屋から出た。
空に浮かんでいる月の明るい光が、岳人やジロー、そして跡部を優しく照らしている。
跡部はその光を頼りに の書いた手紙を読み始めた。
『拝啓 サンタさん
毎年プレゼントありがとうございます。
いつかはちゃんと会って、お礼を言いたいです。
サンタさん、今年はコートが欲しいです。』
「フッ…小学生のガキかよ(微笑)」
「何、跡部?なんか言ったか?」
「いや……っ!」
岳人から目線を手紙に戻した瞬間、目に飛び込んできた言葉。
『景吾とデートする時に着たいんです。
大好きな景吾に見た目だけでも釣り合う様な、素敵な人になりたいから。
高いのじゃなくてもいいのでお願いします♪』
「 …フッ」
バーカ、んな心配しなくたってもうとっくに釣り合ってんだよ。
俺が を選んだ時点で、お前は俺に釣り合う女なんだ。
たとえ誰かに釣り合わないと言われたとしても、俺はお前がいいんだから。
大好きだぜ… …。
がプレゼントを持って、サンタさんが来たと喜び騒ぎ、
タックルする様に跡部に抱きついてくるのは、これから数時間後……。
本当にFin.
香夜様より、555hitのキリリクで頂きました!
もう、素敵すぎだ!!!跡部、最高!!!
跡部サンタ、見てみたいなぁ〜・・。あと、サンタ信じてる子って・・・、純粋ですね。
香夜様!素敵な小説、ありがとうございました!これからも、サイト頑張ってください!