あの詐欺師にあげるの…」
「へぇ〜仁王君にねぇ…」
「…よく分かったね」
「詐欺師って言ったら、仁王君しか居ないじゃない」
「ごもっともです…」
「じゃ、頑張ってね。影ながら応援してるわvv」
にっこりと極上の笑顔で去っていく。
すみません…。もう、あなたの笑顔が信用できそうにありません…。
わたしはと別れて、部室へと向かった…。
ガチャ
「お、じゃなか」
「仁王…」
なんという偶然。部室には仁王一人しか居なかった。
と、いうことは…もしかしてチャンス…?
「大変じゃったんよ?あの後…」
「あの後って…屋上の?」
「そう。あの後、何でか知らんが女共に居場所がバレてのぅ…」
「で、また地獄が始まったと…」
「そういう事じゃ…。
おかげで、準備運動いらんぜよ…」
疲れきっている仁王。多分、今はチョコなんて見たくないよね…。
後にしようか…。
「そりゃ、大変だったね。じゃ、わたし着替えてくるから」
そう言って、わたしは部室から出ようとした。
「待ちんしゃい」
「へ?」
不意に仁王に手を掴まれる。
いきなりの事だったので、わたしはバランスを崩し
気付いたら、仁王の腕の中だった。
「ちょ、仁王!?////」
「お前さん、俺に渡すもんがあるんじゃなか?」
「なっ!」
耳元でそう呟かれて、顔が熱くなる。
逃げようとしても、相手はあの仁王。
ピクリともしない。
「逃がさんぜよ。はよ、渡しんしゃい」
「…その自信はどこから来るんですか?」
「ん?の反応とかからかのぅ…」
「えっ!?」
わ、わたしそんなに分かりやすかった!?////
いや、そんなはずは……!
「顔、赤いぜよ」
あー。分かりやすいのかもしれない…。
仁王の顔を見ると、奴は明らかにこの状況を楽しんでいた…。
…むかつく……。
「残念。仁王様には用意しておりませ〜ん」
「……本当か?」
おっ。なんか余裕無くなってきたかも…。
「嘘ついてどうすんのよ。早く放して」
「……………………」
まだわたしを抱いたまま、仁王は何やら考えている。
ってか、早く放せよ!!!(怒
「…」
「へ?んっ………!?」
今コイツ、わたしの事名前で……。
うつむいていたわたしが、びっくりして顔を上げると
唇にやわらかい物が触れた。
でもそれは、すぐに離れていった。
「////…ちょ、何すんのよ!!!」
「何って…。キスじゃけど?」
「そうじゃなくて!どうしてしたの!?」
「……お前さんがチョコ忘れたんが悪いんじゃ。
これくらいは、当たり前じゃろ?」
「なっ!?////」
チョコ忘れたから、キスって…!
コイツ、可笑しいんじゃないの!?
「ん…まだ足りん…」
「は、ちょ、何言っ…んんっ……////」
言葉を遮られ、また唇にやわらかい物が触れる。
でも、今度のは甘くて長いキス。
だんだん力か抜けてきて、仁王に支えてもらう形にまでなった。
ちょっと苦しくなってきた時、やっと仁王の唇が離れた。
「チョコ渡さんと、もっとエスカレートするが…どうする?」
「〜〜〜〜〜////」
…やられた…。コイツに嘘なんかつくんじゃなかった…。
「わ、分かったわよ!渡すから、ちょっと離れて!!!」
そう言うと仁王はすんなりと放してくれた。
わたしは鞄から小さな箱を取り出し、仁王の前に差し出す。
仁王はそれを、嬉しそうに受け取った。
「ありがとさん。…開けてもええか?」
「どーぞ、ご自由に」
仁王は、少しふてくされているわたしに苦笑しながら
小さな箱を開けた。
「ほぅ…手作り…」
「…が、頑張ったんだから味わって食べてよね!////」
わたしが作ったのは、ハート型のクッキーの中にチョコを流しこんで
トッピングした物。クッキーも頑張って作ったんだから…。
仁王は一つ手に取ると、そのまま口に放りこんだ。(味わえ、って言ったのに!)
「ん、美味い。甘過ぎんし…」
「仁王、甘いの苦手って言ってたから、ビターチョコにしたの…」
「…ありがとさん」
そう言って、仁王はふわりと笑った。
その笑顔に、不覚にもドキッっとしてしまった…。
あーやっぱりわたし、コイツに惚れてるわ…。
「あと……」
「ん?何さ?」
「コレ、本命として受けとってもいいんか?」
「っ……////いいんじゃない?」
わたし、上手く乗せられてる…。
やっぱ仁王には…敵わないや。
「これからよろしゅうの、」
「よろしく…雅治////」
そう言って、わたし達はもう一度キスをした。
その時、微かにだけど、ほろ苦いチョコの味が
わたしの口の中に広がった。
Happy Valentin's Day
おわり
あとがき(言い訳)
はい!バレンタイン夢、仁王verです!
意味不明度、Max!!!ひっどいなぁ…コレ。
すみません…。チョコでも食べて、忘れてください!(ぇ
ここまで読んで下さって、ありがとうございました!!!