動脈硬化は世界の多くの国々で、心筋梗塞や脳梗塞は死亡原因の上位を占めています。ところがイヌイット(北極圏に住む人々)は、昔から心筋梗塞になる率が極端に低いことが知られています。デンマークの研究者はイヌイットが海に住む動・植物を主食にしているためではないかと考え、10年間にわたる調査の結果「魚やアザラシの脂肪に含まれるEPA(イコサペント散)には心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ働きがある」と発表しました。この発表でEPAは一躍脚光を浴びることになりました。その後研究によってEPAには動脈硬化を抑える作用があることが確認され、現在では動脈硬化が原因となる心筋梗塞や脳梗塞の予防に期待が集められています。
ちなみに魚をあまり食べない肉食中心の欧米人は動脈硬化になりやすいといわれています。1日あたりのEPA摂取量:イヌイット10g・白人殆ど0g・日本人(漁民2.5g・農民0.9g)
EPAは、魚やアザラシなど海にすむ生物の脂肪に沢山含まれている脂肪酸の一種です。一方、牛や豚など陸にすむ動物の脂肪にはEPAではなく、アラキドン酸という脂肪酸が含まれています。アラキドン酸をとりすぎると、悪玉コレステロールが増えたり、血液の流れを悪くなったりして、動脈硬化がおこりやすくなります。同じ脂肪酸の一種といっても沢山とることで動脈硬化の予防になるEPAと、動脈硬化をおこしやすくするアラキドン酸。イヌイットは欧米人と同様、脂肪を沢山とっているのに心筋梗塞が少ないのは、とっている脂肪の質が違うからなのです。
EPAは青身の魚の脂肪の中に沢山含まれています。その他コンブやワカメや海苔などの海産物にも含まれています。
なぜEPAは動脈硬化が原因で起こる心筋梗塞や脳梗塞を予防できるのでしょうかその答えを見つけるために沢山の研修者達が研究を重ねました。その結果EPAには血液を固まりにくくして、血液の循環をよくする作用や血液中の中性脂肪と悪玉コレステロールを減らす作用のあることが確認されました。またEPAは細胞の膜を構成する大切な要素として身体中の細胞に入り込んでいます。このような様々な作用によって動脈硬化が徐々に進んでいくのを抑えてくれます。
EPAは、血液の流れをよくし、血管や赤血球の働きをバランス良く整えます。
動脈硬化が進んで血液の循環が悪くなると、心筋梗塞や脳梗塞をおこす率がグンと高くなります。魚をよく食べる地域で、こういった病気が少ない事は世界中で行われた様々な調査によって確認されています。例えば、第二次世界大戦のノルウェーでは、肉不足で魚の消費量が大幅に増えましたが、その時期、心筋梗塞による死亡率が激減しました。これは魚のEPAが動脈硬化性の病気を予防することを示す一例といえるでしょう。
動脈硬化の予防の第一歩は、肉食を減らし、少しでも魚を食べるようにすることです。
EPAを多く含むのは、背の青い魚、イワシ・サバ・サンマなどです。ただし同じ魚でも生か焼き魚かでEPA含有量は異なります。ちなみにマイワシ100gのEPA含有量は、生1381mg、焼き魚1095mgです。
魚を食べるときは、料理方法が何であれ、新しいうちに食べるように心がけて下さい。魚が古くなると、動脈硬化を促進させる過酸化脂質が増えてきます。野菜のビタミンCやEは、その害を防ぐ働きがあるので、魚を食べたら野菜を食べることも忘れないようにして下さい。生魚100g当たりのEPA含有量をマイワシ1381mg・サバ1214mg・サンマ844mgです。
心臓病予防を目的に設立されたアメリカの健康団体は、食事のとり方について次の「5ヶ条」を提唱しています。
1:牛や豚の肉は週に4食まで
2:その他の肉は魚か鶏にし、特に魚は週5食以上にする
3:鶏卵は週4個
4:バター・チーズはやめてマーガリンやサラダ油にする
5:砂糖を減らす要はEPAの多い魚主体の食事にして良質な栄養素をバランス良くとり、心臓病などの動脈硬化性の病気を予防しようということなのです。この5ヶ条に日本人向けの指導を付け加えると
6:高血圧の元凶である織炎は1日に10g以下にする。
7:野菜・海草類を沢山とるということになります。
1週間に5食以上は魚主体の食事にしましょう。
青魚の消費量から換算すると、日本人1人当たりのEPAの摂取量は1950年代にピークを迎え、その後、食生活の西洋化で減少の一途をたどっています。今では40年前の3分の1に減り、心筋梗塞や脳梗塞が激増しました。とはいっても、これらの病気はまだアメリカの5分の1です。EPAの動脈硬化予防効果が明らかになるにつれ、魚の良さが世界的に注目されるところになりましたが、これに逆行するように、日本人の食事からは魚離れが急速に進んでいます。このあたりで私達日本人も昔ながらの日本食を見直し、青魚をもっと取り入れて動脈硬化の予防に心がけたいですね。
目指すは動脈硬化のない元気な血管です。
提供:持田製薬