「「「「「さぁ〜ん!!!」」」」」
わたしの家に、道場破りがやって来ました。





出会って、恋して… 第1話〜出会い〜





のどかだった、日曜日の午後。
わたしはのんびりと、お茶を飲んでいた。


「ふぅ〜。いい天気vお父さんとお母さんも、出かけちゃったし
わたしも、どこか遊びに「「「「「さぁ〜ん!!!」」」」」


ちょうどその時だった。折角、楽しい午後のプランを考えていたのに
うちの道場に通っていて、今は練習に励んでいるはずの門下生達が
波のように押し寄せて来た。


「み、皆どうしたn「た、大変です!道場破りが…!」」
「ど」








道場破り……?


「えっ!嘘!」


今ごろ、道場破りなんてやってる人が居るなんて…。
よく見てみると、皆あちこちに傷があった。
おそらく、道場破りの人に、ボコボコにされたんだろう…。


「本当ッスよ!いきなり入ってきて…!」
「しかも、かなり強いッス!!」
「今、山中さんが頑張って応戦してるんスけど…」


皆必死になって、口々に大変さを物語っている。
山中さんというのは、うちの門下生の中で、一番強い人だ。


「と、とりあえず来てください!!」
「えっ?は?ちょっと…!」


混乱しているわたしをよそに、門下生達はわたしを連れて
道場へと急いだ。



















「くっ………」
「フン。ここの道場も、大した事無かったな…。
じゃ、ここの看板はもらって…「「「「「待て!!!」」」」」
「!?」


道場に着くなり目に飛び込んだのは、どうやら惨敗したらしい山中さんと
道場破りの男の子。
なんだか、もうすぐで看板を持って行かれそうだったようだ…。


「なんだ…。負け犬共じゃないか…。もう、決着はついた。
看板はもらって行く」
「まだだ!まだ、うちの主将が残っている!!」


そう言って、わたしは彼の前につき出された。(ちょっと痛い…)
彼はわたしを見るなり、鋭い目つきで睨んできた。


「ど、どーもぉ〜…」


恐る恐る、声をかけてみる。すると彼は呆れた顔をして、


「なんだ…。女じゃないか…。見苦しいぞ」


彼の言葉に、少しカチンときた。
お、女じゃないかって…。


「ちょっと!女じゃないか、ってどういう意味よ!」
「そのまんまの意味だ。俺に敵う奴が居ないからって、
まさか女を出してくるとは…。最低の道場だな」
「なっ!!!」


さ、最低!?もう、頭にきた!!!


さ「やってやろうじゃ、ないの!!!
誰か審判しなさい!ほら、早く!!!」(怒
「は、はいっ!!!(さんが、キレた!!!)」


完全に頭にきたわたしは、すぐさま着替え、試合へと望んだ。


「ついでに聞いとくけど、アナタの名前は?」
「人に名前を尋ねる時は、まず自分からだ。教わらなかったのか?」
「(キー!ムカツク!!!) よ!!!」
「日吉 若だ」


ん?日吉 若…?どこかで、聞いたような…。




「始め!」


合図と同時に、ふと我に返る。
その時、すでに彼は動いていて、平手がとんできた。
寸前の所で、それをかわす。


「おっと」
「チッ」


それを合図に激しい攻防が続く。
力はほぼ互角で、なかなか勝負がつかなかった。


「くっ!」
「(…やるな)」


やや日吉君が攻め始めた時、後ろに下がったわたしの足場が
急にへこんだ。


「へっ?」
「なっ!」


もちろん、試合に集中していたわたしが対処できるはずがなく、
そのまま後ろに倒れてしまった。


「危ない!」


その時だった。床に頭がぶつかる前に、日吉君が後ろに回り込んで
わたしを庇ってくれた。


「ひ、日吉君!?」
「いって…」


もちろん、わたしを庇った日吉君は、頭を強く打っているわけで…。
すごく痛そうだ…。


「だ、大丈夫!?きゅ、救急車とか呼んだほうが…「必要ない」」


うろたえているわたしとは反対に、至って冷静な日吉君。
そうとう痛いはずなのに…。


「ったく…。どうして床が抜けるんだよ…」
「そ、そんなはずは…。ああっ!!!」


抜けた床を見てみると、下にはお菓子とか、まぁ…女の子はあんまり見たくない本が、たくさん入っていた。


「ちょ、誰!?道場の床、勝手に改造したの!」
「「「「「す、すみませんでした!!!」」」」」(土下座


全員が謝ったのを見て、力が抜け、座りこんでしまった…。
でも、それより……


「ごめんね、日吉君…。その…怪我とかさせちゃって…」


門下生達のせいで、かなりこちらが不利になり
看板を持っていかれても、しょうがないと思った…。


「別に…。こっちこそ、悪かったな…」
「はあ?」


なんで謝ってんの?この人?


「だから、女じゃないか、とか言って見下して…
悪かったって言ってんだよ」
「あ、ああ…」


なんだ…結構良い人じゃないか…。


「………だったか?」
「え?うん。何?」
「今回の勝負は預けておく。いろいろとあったしな…」
「え、本当?良いの?」
「ああ…。邪魔がはいらなければ、勝敗は分からなかったしな…」


そう言って、日吉君は門下生達を睨んだ。
門下生達が、少し助けを求めてたけど、自業自得。知〜らない。


「じゃあ、俺は帰る」
「うん。本当にごめんね…」
「いいって言ってるだろう。お前のせいじゃない」
「う、うん!じゃあね!」
「ああ…」


この時、日吉君が微かに笑ってくれた。
その笑顔に、少しドキリとしてしまったのは、何でなんだろう…。


その日、帰ってきたお父さんに、門下生達はたっぷりと叱られ
たくさん走らされたとか…。






















翌日、学校に登校すると、見覚えのある人が…。
って……


「日吉君!!??」
…?」


まさか、同じ学校だったなんて…。
こんな事から、わたしの恋は始まった……。





Next





あとがき


日吉夢連載、始まり〜!
いや、短編のつもりだったんだけど、書いてる内に
「このまま、連載1個増やしたれ!」とか、思って…。(なんちゅう、理由…)
こんな突発な連載ですが、読んでくださると嬉しいです。