変わらない日常。勉強に追われる毎日。



退屈………















キミのタメ















その日もいつも通り始まった。




目が覚めると目覚まし時計が鳴っていて、



眠たいと思いながらベットを抜け出し



朝食を食べるために、下へと降りる。




キッチンでは母がいつも通り、朝食を作っていた。






「おはよう…」



「おはよう、。もうすぐご飯出きるから待ってなさい」



「ふぁい……」






目をこすりながら椅子に座り、ボーっと母の姿を眺める。




こういう時は本当に母には感謝する。



わたしより早く起きて、わたしのためにご飯を作ってくれるんだから…。



でも…






「今日は一体どうするの?土曜なんだし、頑張って勉強しなさいよ






こういう事を言う時、わたしはとてつもなく母が嫌いになる。



わたしは今年受験生になり、今は志望している高校に受かるか分からないという状況。



勿論母もその事は知っていて、今年になってから急に口うるさくなった。




わたしの成績は中の中。本当に中間くらい。



運動も出来ない方じゃないけど、出来る方でもない。つまりは普通。



ふとっても無ければ痩せてもないし、身長だって高くもなければ、低くもない。



容姿だって、かなりのブスと言う訳でもなければ、美人でもない。



本当に普通すぎる子。(逆に珍しいんじゃないかと思う…)






「あんたは人並み以下がある訳じゃないけど…特化した所もないんだから」






そんなの、わたしだって分かってる。






「せめて頭だけでも良くしなさい。合格したいんでしょ?」






落ちたい訳ないじゃない。なんでそんな事、母さんに言われなくちゃいけないの?






「ちょっと…聞いてるの?」






ムカツク…






うるさいなっ!ほっといてよ!!!






わたしは椅子から立ち上がり、キッと母を睨みつけた。






「っ…!!なんですか!その口のきき方は!!!」






わたしは怒っている母を無視して、自分の部屋へ急いで戻った。



部屋に入ると鍵を閉め、母の様子を伺った。



幸い、母は追い掛けて来なかった。






「なによ…。人の気も知らないで…」






わたしは先ほどまで寝ていたベットにダイブし、天井を見上げた。




いつからこんな風に、受験の話しかしなくなったんだろ…。



口癖のように勉強勉強…。学校の事だって、テスト関係の事しか聞いてくれない。



もう…嫌だな……。






「退屈…」






この日常を早く変えたい。



学校の事とか、楽しく話してた頃に戻したい。



今の日常は…退屈でつまらなくて苛ついて…嫌になる。



なんとかならないかな…。










『なるよ』










へぇ…なんとかなるんだ。じゃあ、どうにかしてよ。






『いいよ』






ホント?ありがと……って…






「えっ!?だ、誰っ!?!?」






焦ったわたしはガバッと起きて、辺りを見渡す。




部屋を見渡してみても、誰も居ないし…



母さんの声じゃないし…他の家族はまだ寝てるし…。



い、一体誰なの…?






『あー…、誰って言われても返答に困るなぁ…。



ま、君の願いを叶える親切な人とでも思ってよw』



「し、親切な人…?」



『そう。君はこの世界が嫌なんだろ?』



「せ、世界っていうか…今の状況が嫌。昔に戻りたい…」



『あぁ…昔に戻るのは無理かな。戻った所で、また時間が経てば同じ事だよ』



「そ、そうだけど…」



『だったら別の世界に行けばいいじゃん。君の嫌なものが全部無い世界にさ』



「嫌なもの全部…?じゃあ、受験とか無いの!?」



『そんな物あるわけないよ。この世界じゃないんだから』



「ほ、ホント!?」



『ホント、ホント。行く?』



「行く!行く!…でも、どうやって?」



『心配ご無用。僕が連れて行ってあげるよ』



「ありがとう!これで勉強から解放されるぞー!!!」



『喜んでもらえて、なによりだよ。んじゃ、早速行こうか』



「へ?今から?」



『そ、今から』



「でも…荷物とか準備しなくちゃいけないし…。家族も一緒に…」



『な〜に言ってんの。君一人だけだよ、連れていくのは』



「え!」



『それじゃあ、出発〜』



「ちょ…!待っ…!キャア!!!」






そしてわたしは、一瞬すごい衝撃に襲われ



意識を手放した…。













































* * *



うわっ…何この浮遊感…。気持ち悪っ…。






『おはよう』



「ん…うわっ!な、何ここ!!!???」






聞き覚えのある声で目を覚ますと、わたしは妙な空間に浮いていた。



まさに異次元空間というか…。見てて気分が悪くなってきそうな風景。



なんか移動してるみたい…。






『何って…だから別世界に移動してるんだよ』



「ゆ、夢?いや…でも、この声聞いた事あるし…」



『ちょ…!何言ってんの!?君が望んだんでしょ!』



「あ、親切な人だ…」



『そ、思い出した?ついでに言っとくけど、コレ夢じゃないからね?』



「う、嘘…」



『嘘だと思うなら、自分の頬つねってみなよ』






姿の見えない親切な人にそう言われ、



わたしは思いっきり自分の頬をつねってみた。






「痛っ!!!」



『ね?夢じゃないでしょ?』



「はい…。ところで…もうそろそろ姿見せたらどう?」



『姿ねぇ…。残念だけど、ないものは見せられないよ』



「え、姿がない!?」



『あったらとっくに見せてるよ。失礼だからね』



「そう…。あ、あのさ!これから行く世界ってどんな所なの?」



『そうだな…。君の嫌な物が全部なくて…退屈はしないと思うよ』



「へぇ!楽しい所なの!?」



『さぁ…人によって感じ方は違うだろうね…』



「…どういう意味……?」



『それは自分で確かめると良いよ。あ、もうそろそろ着くかな…?』



「あ、ねぇ!必要な物とかあるの?」



『んー…強いて言えば、生き延びる事の出来る能力と知識…かな』



「な、何それ!?怖いトコなの!?」



『どんな所だろうと…頑張って生きてね』



「頑張って…生きる?」



『さ、もう着くよ』



「え、ちょ…!きゃっ!!!」






そして、眩しい光がわたしを包み



何かから抜け出すような感覚に襲われた。










ドサッ










「痛っ…!」



『到着〜。長旅ご苦労様でした〜』



「つ、着いたの…?」






地面に背中をぶつけ、痛がっていると



呑気な声が聞こえ、目を開ける。



ふと目に入ったのは、荒れた土地。



とてもじゃないけど…楽しそうな所には見えなかった。






「ほ、本当にここなの?」



『ここだよ。ここには受験なんてないしね』



「じゅ、受験が無ければ良いってものじゃ…」






そのまで言った時だった。











バンッ!!!











「!!!」



『おお…やってる。やってる』






いきなり聞こえた銃声。わたしは音のした方へと振り返った。



すると…






「ひっ!」



『ここではよくある事だよ』






わたしの目に飛び込んできたのは、まぎれもない



赤い血の海だった。



遠くの方に見えた事が、まだ幸いだったのかもしれない。






「な、なに…アレ…?」



『見ての通り、血だよ。まぁ、いわゆる殺し合い?』



「殺っ…!?」






その言葉と血の海のせいで、わたしの身体は恐怖で震えだした。



わたしの望んでいた世界は、こんなのじゃない…。






『さて、僕はもうそろそろ行くよ』



「い、嫌…!待っ……!」



『最後に…この世界の最低原則を教えておくよ』



「え…」



『この世界で人を愛してはいけないよ』



「ちょ…!待って!!!」






わたしの叫びも虚しく、急に親切な人の声は途絶えてしまった。



残ったのは、不安と恐怖だけ。






「わたし…これから、どうすれば良いの…?」













謎の人物から連れてこられた別世界。



荒れた土地に真っ赤な血の海。



そして、この恐ろしい世界での最低原則。



何も分からない一人の少女の



新たな人生がスタートした。















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あとがき


やっとこ一話かけました…;

まだテニプリキャラ出てこなくて、スミマセン…。

おそらく次は出てきますので!!!

つーか、会話多いなぁ、オイ。