出来れば見たくなかった。
それを見て俺は………苛ついた。
出会って、恋して… 第4話〜苛つき〜
ある日の放課後。
俺は体育館近くにある倉庫に、ボールを取りに行くよう言われた。
こんなの平部員に行かせろよ。とは思ったが
跡部さんに言われたので、仕方なくやってきた。
角を曲がると2つの人影が見えた。
一人は男。一人は女。
この時点で大体の事は分かってしまった俺は、
さっさとその場を立ち去ろうとした。
しかし…
「その…手紙くれたのって……君だよね?」
聞き覚えのある声に、自然と足が止まる。
俺の耳は2人の会話を聞いてしまった。
「うん…。それで、返事は…?」
「えっと…その……」
当人ではないはずなのに、なぜだかの返事が気になる。
この時俺は、去ってしまった方が良かったのかもしれない…。
「っ……!」
「えっ!?ちょ……!」
男が叫んだかと思うと、そいつはを抱きしめていた。
それを見て俺は、何故だか苛ついてしまった。
「の返事は…大体予想つく…。でも俺、本当にの事が好きなんだ!」
五月蝿い。それ以上聞きたくない。
その思いだけが脳裏をかけめぐった。
でも何故か、俺の足は動かなかった…。
「と、とりあえず、離してもらえないカナ…?」
「あっ、ご、ゴメン!」
その言葉を聞いて、すこしホッとする。
しかし…どうして俺は、少し安心しているのか…。
この気持ちは…一体何なんだ…?
「ゴメンね…。川上君とは、付き合えないや…」
「…そっか…。こっちこそ、ゴメン…」
の言葉を、俺は待っていたのかもしれない…。
本当に安心したから…。
男の方は本当に悲しそうだが…。
「じゃ、じゃあね!!!」
その言葉を聞いて、素早く立ち去ろうとしたが
俺は…と会ってしまった…。
「ひ、日吉君!?」
「…すまん。見るつもりは、なかったんだが…」
酷くびっくりしている。
俺は謝っておいたが…は青ざめていた。
「……どこから見てた?」
「抱きついた所ぐらい…」
この状況で「初めから」とは言えず
俺は嘘をついてしまった…。
は「最悪!!!」とでも言いたそうな顔だった…。
「あ、あれは違っ「別に俺は…」
「!?」
「が誰と付き合おうが…関係ない……」
「っ……」
必死に説明してくる。
でも俺には、関係のないこと…。
さっきの気持ちは…きっと何かの間違いだ…。
なのにはどこか悲しげな表情をした。
「そ、そうだよね!日吉君には…っ…関係ないよね……」
どうして…そんな泣きそうな顔をするのか
俺は分からなかった…。
「じゃ、じゃあね!日吉君!」
「…?」
本当に泣きそうな声で
俺にそう言い残して、は走り去って行った。
追い掛けた方が、良かったのかもしれない。
でも
足が動かなかった…。
「ったく…一体何なんだよ…」
俺はこの分からない感情に
酷く苛ついた。
次の日、学校の下駄箱でを見掛けた。
は昨日の泣きそうだった顔ではなく
太陽のように笑っていた。
その瞬間、俺の心臓が高鳴った。
Next Back
相変わらず、訳わからん…。
日吉難いなぁ〜…。更新も遅いし…。
んにゃ!始めたからには、頑張るんだ!!!
と、いう訳でまた次回〜vv