つまらない意地を張ったって、何も変わらない事ぐらい分かってる。
でも…
キミのタメ
「おい、仁王。氷帝と山吹のトコに、おかしな奴が入ったらしいぜぃ?」
「おかしな奴…?」
ここは立海と不動峰が拠点にしている『不立城』の中。
立海メンバーである、仁王 雅治と丸井 ブン太は
コーヒーを飲みながら、雑談を交わしていた。
「なんでも、『変な格好して戦闘の多い場所に突っ立ってた女』らしいぜ」
「確かにおかしい奴みたいじゃが…そいつが一体、どうしたんじゃ?」
「俺もそう思うんだけどさ…。柳の奴がそいつの事、警戒してんだよ」
「警戒…?」
「そ。偶然そいつを見かけて、嫌な予感がしたらしいぜ」
「参謀の勘…当たりそうで怖いのぅ…」
「ま、所詮女だし。あいつらの戦力が変わる訳でもないだろぃ」
「…そうじゃの」
「それより、早く飯行こうぜ!
今日あたり、青学と六角の奴らが攻めてくるって噂あるしさ!」
「めんどうじゃのぅ…。噂で終わって欲しいぜよ」
「だー!そんな事言ってたら、いつまでたっても終わらないだろ!!!」
「………」
「『腹が減っては、戦はできん』!ほら、行くぜ!」
「ああ…」
その時、仁王はふと思った。
(本当に終わりなんてくるんじゃろうか…)
と…
* * *
「跡部の奴、どうかしてるぜ!」
「そない言うたって、しゃあないやん。
それに、只雑用係が増えるだけや」
「役立たずの間違いだろ!」
バン!という音が立て続けに響く、訓練所で
俺は侑士に愚痴りながら、憎しみを込めて的を銃で撃ち抜いていた。
あの後、変なパジャマ女と『氷帝に入るか入らないか』で言い合いになった俺は
リーダーである跡部に、結論を求めた。
そして、返ってきた答えは…
「雑用係が多いに越した事はない…氷帝でいいだろ」
その時、少しばかり勝ち誇ったような顔をしたあの女に
俺は酷く苛ついた。
「クソクソクソ!!!」
バン!バン!バンッ!と、俺の憎しみの込められた弾は
的の心臓の部分を正確に貫いた。
「なんや…えらい調子ええやん」
「チッ!あの的が、あの女だったら良かったのによ!!!」
俺がそう言ったのを聞いて、侑士が少しだけ目の色を変えた。
「あかんで、岳人。グループ内での殺しはご法度や」
「ッ…!分かってるよ!」
保護者ぶったような侑士の言葉に、俺は余計苛ついた。
そして、みっともない事だと分かっていながら
近くにあった椅子に、持っていた銃を叩きつけた。
「ま、その女が裏切れば…話は別やけどな」
侑士の呟きに、俺は気付かなかった…。
* * *
「なぁんだ。氷帝に入っても、壇君と一緒に仕事できるじゃん!」
つまらない意地を張った結果、わたしは氷帝側となった。
そしてジャージに着替え、今は壇君と一緒に洗濯物をたたんでいる。
おかっぱ君と言い合いをしていた時、わたしは氷帝に入ってしまったら
山吹の壇君とは一緒に仕事が出来ないと思っていた。
だけど、実際は結構一緒に仕事をするみたいで
周りを見ても、氷帝と山吹の人が一緒に仕事をしていた。
「仕事内容はほぼ同じですし、洗濯する場所も調理する所も合同ですから」
「そうなの?じゃあ…一緒に仕事出来ない仕事って何?」
「んー…掃除の時は、掃除する部屋が違うですから…
掃除の時と…あと、会議の時ぐらいです」
あー…なんとなく、なんの会議か分かるな…。
「その会議の内容って…」
「勿論、戦いに関する会議です」
「やっぱり…」
この世界で、環境問題とかについて話し合うとは思えない。
やはり物騒な所だと思いながら、わたしは
とても退屈に感じていた世界の事を思い出していた。
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あとがき(激しく言い訳)
更新サボって、本気でスミマセン!
なんかコロコロ視点変わりすぎな話でスミマセン…;
+がっくんが怖い;;;がっくんファンの方ごめんなさい!(土下座
もう『不立城』って、開き直ったよw青学と六角は『青六城』でいいや。(オイ