泣き叫んだって、どうにもならない。
戦いって、そういうものだろ?
キミのタメ
立海&不動峰との戦いに備えて、準備が始まってから3日目の今も慌しく準備が行われていた。
俺は準備に追われているあのパジャマ女を見つけると、
無償に怒りとも憎しみともいえない感情が込み上げてくるのを感じた。
「どうしたんや、岳人。顔怖いで」
「なんだよ侑士。練習場に居たんじゃないのかよ」
「アホか。今更練習したって大して変わらへん。逆に疲れるだけや」
「あっそ」
素っ気無い返事をした後、もう一度パジャマ女の方へ視線を向ける。
チッ。壇と一緒にヘラヘラ笑いやがって・・・相変わらず呑気な奴だな。
「ほー。新入りの嬢ちゃんが気になるんか?」
「は?別に気になってなんかねーよ!あんな能天気女!」
「能天気・・・か」
俺が少し大きめの声でそういうと、侑士は何か言いたそうな顔でそう言った。
なんだよ。言いたい事があるなら、はっきり言えばいいじゃねーか。
「なんだよ。何か言いたそうだな」
「別に、なんでもあらへんけど。ただ・・・」
「ただ・・・何だよ?」
「人を見かけで判断するんは、あんまりええ事とは言えんで」
「は?」
パジャマ女の事について言ってるのか、俺は一瞬判断できなかった。
もし、パジャマ女の事を言っているとしたら・・・全くもって無意味。
あんな奴、見た目所か完璧に中身を能天気じゃないか。話したから分かる。
俺はあんなヘラヘラした奴・・・大嫌いだ。
「見た目だけじゃねーよ。中身も完璧に能天気だ。ヘラヘラしやがって」
「まだ少し話しただけやろ?それに、何でそないにあの嬢ちゃんの事嫌うんや?ちょっと自分もおかしいで?」
「ッ・・・!うるせぇ!クソクソ侑士!!!」
また保護者ぶる侑士のせいで、俺はまたイラつきを募らせた。
そして俺は侑士を睨みつけると、走ってその場から立ち去った。
「んだよ・・・クソッ!あの女も侑士も・・・ッ!」
嫌いだ。能天気なあのパジャマ女も、保護者ぶる侑士も、皆嫌いだ・・・!
人の気も知らないで。
「あ、壇君!いいよ。それわたしが運ぶから」
「そうですか?ありがとです」
戦争の準備が始まってから3日目。
わたしはだいぶ準備にも慣れてきて、今は積極的に仕事をしている。
初めは持つ事にさえ、恐怖を感じていた銃も
今となっては大量に運べるようになった。
ホント・・・慣れって怖い・・・。
「おい、!あと一箱追加だ」
「あ、ハイ!!!」
それと、最近は宍戸さんや鳳さんによく声をかけられる。
わたしの事を気遣ってくれているのか・・・否、多分それはない。
だって、大抵声をかけられるのは準備に関しての事だから。
ま、戦争が近いから当たり前なんだけど・・・。
それより・・・
「ね、ねぇ・・・壇君・・・」
「ん?何ですか、さん」
「さっきから妙に殺気のこもった視線を感じるんだけど・・・」
「あ、ああ・・・向日さんですか・・・」
何が気にくわないのか知らないけど、さっきから妙におかっぱくんが私を睨んでくる。
しかもなんか悪口言ってる気がする・・・勘だけど。
ん?もしかして・・・最初に会った時のこと、まだ根に持ってる!?
もしそうだとしたら・・・どんだけ子供なの、あの人・・・;;;
「ー!もたもたするな!一箱追加つっただろうが!」
「は、はいッ!!!」
宍戸さんの怒鳴り声で、私はハッと我に戻った。
まぁ、根に持たれてもしょうがない気もするし・・・。
それに、おかっぱ君の方が私より子供な気もしてくるしね。
そう結論づけた私は、もう一度宍戸さんに怒鳴られない内に銃をまた一箱運んだ。
「リーダー!立海と不動峰の奴らがやってきました!!!」
「そうか・・・ついに来たか」
一人の男が慌しく部屋に駆け込んだ。
男の報告を聞いて、跡部はすっと立ち上がる。
「数はどれくらいだ」
「だいたいこちらより100人ほど少ないかと」
「って、ことは・・・裏からもくるな。よし、南の奴にも伝えろ」
「はい!」
男がまた慌てて部屋を飛び出していくと、跡部は口の端を微かに上げた。
「さあ、始まりだ」
次の瞬間、城全体に放送が流れた。
城の空気は一変し、足音がざわつく。不安も膨らんだ。
そして跡部は愛用の銃と共に、部屋を出た。
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あとがき
ちょっと短めな6話です。
やっと戦闘開始。