2月14日。
男子テニス部レギュラー達にとって、地獄の日です。





逃げた後には…





「「「「「仁王く〜んvVvV」」」」」

「「「「「待ってよぉ〜!丸井君〜!!!」」」」」

「「「「「赤也君、受けとってぇ〜!!!」」」」」



朝です。今は朝です。普通の人間なら、テンションは低いはずです。

なのに何ですか?この黄色い声は……。

寝起きのわたしにケンカ売ってるんですか?えぇ?



、今にも人殺せそうなぐらいの殺気でてるわよ?」

「え、マジで?そんなつもりは無いんだけどなぁ〜(棒読み)」

「本気で機嫌悪いわね。ま、人殺しだけは止めなさいよ」



そう言って、友達のは去って行った。

あなたはわたしを何だと思っているんですか?



今日は2月14日。いわゆるバレンタインデーだ。

この騒ぎは、このイベントによる物で

男子テニス部レギュラー達の地獄の始まりでもある。

ま、わたしはマネージャーだから悲惨な様子は見てるけど

関係ないしね。



「た、助けてぇぇぇーーーー!!!」

「うおっ!そんな大勢で来るなって!!!」

「プリッ」



特に被害を受けるのはこの3人。

他に幸村とか柳とか柳生とか人気あるけど

この3人はいろいろと対策とってるみたいで

わたしもまだ姿を見ていない。

真田とジャッカルは大丈夫だしね。(ぇ



あーあ…わたしはどうしよっかな…。




































せんぱーい!!!」

「お、赤也。やっと撒けたの?」

「はい…死ぬかと思いましたよ…」



人通りに少ない廊下を歩いていると、赤也がやって来た。

少し息を切らしていて、本当に死にそうな顔だった…。



「朝から大変ですな」

「ほんと…大変なんすよぉ〜。…所で……」

「ん?何さ?」

先輩はチョ「ゴメンね、わたし急ぐから。じゃ」



赤也の言葉を軽くスルーし

わたしは音楽室へと向かった…。





「教えてくんないのか…。ま、俺がもらう事は間違いないけど♪」



勝手に上機嫌な赤也だった…。





































わたしはリコーダーを忘れていたので、音楽室へと取りに来た。

そこには疲れきった丸井が居た。



「大丈夫?この世の終わりみたいな顔してるよ?」

「もう、くたくただっつうの…。甘いもんは好きだけど、アレは苦手…」

「チョコだけ貰って、さっさと逃げれば?」

「…それ、最低じゃね?」



確かにね。ま、わたしには関係ないけど。

リコーダーを取り、音楽室を出ようとした。



「なぁ、…」

「何?」

「お前は誰かにチョ「あ、また来てるよ。頑張ってね」



丸井の言葉もスルーし、親切なわたしは、遠くに女の子達が見えたので知らせてあげた。

そしてわたしは、次の授業をサボるため、屋上へと向かった。





「げっ!またかよ…。ま、俺が貰うのはアイツのチョコだけだし♪」



次の瞬間、また地獄がブン太を襲った…。

































「お、先客」

「良かった…か…」



ドアを開けるとそこには、必死に逃げてきたであろう仁王の姿。

本当に疲れているようで、思いっきり寝そべっている。



「でも、意外。今年こそ、なにか対策とってくると思ってたのに」

「…学校着いたら、即屋上に逃げようと思ってたんじゃけど…」

「……門の所で待ち伏せされてた…とか?」

「大正解」



はぁ〜…、と盛大に溜め息をつく仁王。

それが面白くて、何だか笑ってしまった。



「笑い事じゃなかよ…」

「ま、頑張ってね。わたしは保健室で休むから」



仁王に気を効かせ、わたしは保健室で休もうと屋上から出ようとした。



「のぅ、…」

「……なに?」

「チョ「あと少し、頑張ってねぇ〜」



「チョ」という言葉に反応し、仁王もスルー。

屋上を出て、保健室へと向かった。





「今のは早かったのぅ…。ま、のチョコは俺のもんじゃし♪」



その後、屋上にまで悪夢は襲ってきた…。






























そんなこんなでもう、放課後。

きっとテニス部のレギュラー(特にあの3人)は

この時間をどれだけ待っていただろう…。

わたしは鞄の中に入っている、小さな箱を見ながら溜め息をついた。



「あら、。まだ渡してなかったの?」

「うわっ!って…いきなり現れないでよ、



背後から急に声をかけられ、不覚にも驚いてしまった。

小さな箱を見たは、何やら怪しげに笑っている…。



「誰にあげるの?それ」

には関係ないじゃん…」

「ふ〜ん……」



はつまらなさそうな声を出すと

廊下に出て、大きく息を吸い込んだ。

一体、何を…?



「不幸な男子生徒の皆さぁ〜ん!!!
ここに優しい乙女の さんが

あなた達にチョ「止めろぉぉぉぉぉ!!!!!」



わたしは廊下に居るに思いっきりタックルして、止めた。

は勝ち誇ったように笑っていた。

ち、ちくしょう…。



「あ、ゴメンね。てっきり可哀想な男子達に配ってあげる分だと思って…」

「すみませんでした。マジゴメンなさい…」

「じゃ、誰にあげるのか教えてvv」

「分かったわよ…。実は…



あの詐欺師にあげるの…」(仁王)


食いしん坊のアイツに…」(丸井)


後輩の子に…」(赤也)