ピピピピ ピピピピ ピピピピ・・・
んぁ?何?この音・・・。
トリップライフ 第15話~沈黙のバス~
「うっるさいなぁ・・・」
妙な音が聞こえて起床。ちぇ、今度は仁王は居ないや・・・。
何だ、目覚ましか。えっと・・・集合時間は6時半だからぁ・・・
あと10分か・・・。はは、楽勝・・・って
「んな訳あるかぁぁぁぁあ!!!!!!」ガバッ
ノリ突っ込みをしながら起きた私は、思わず目覚ましを掴んで時刻を何度も確かめた。
え、ちょ、ピンチじゃん!何で10分前なんかにセットしたの?私!
目覚ましの意味ないじゃないのさぁぁあ!!!
やばいやばいやばい!こんな自問自答してる間のも
わたしの命のタイムリミットが近づいてきてるぅぅぅ!!!
いや、落ち着け!荷物は準備万端なんだから、問題は身支度と集合場所までの時間!
身支度を5分以内に済ませ、5分で全力疾走すれば可能性はある!!!
よし、いけるッ!!!!!!
「麗緒奈!立海の柱になれぇぇぇぇえ!!!!!!!!」(意味不
***
「ま、間に合わなかった・・・」(ガーン
あれだけ頑張ったにも関わらず、集合場所にはジョギングしてるおばさんしか居なかった。
せ、折角氷帝と青学をコンプリート出きるチャンスだったのに・・・!
「うわぁぁあァあ!鬼部長と変人レギュラー共の馬鹿ヤロー!!!!!!!!!!」(叫
「誰が鬼だって?美賀さん」
ん?この声と背中から伝わってくるブラックなオーラはもしや・・・!
「ゆ、ゆっきー!!!それに仁王も!何で!?」
「おはようさん、予想通りやのう」
「だね」
「いやいや。二人だけで分かち合ってないで、ちゃんと説明して下さい」
「説明も何も・・・ちょっくら俺がお前さんとこの時計を30分程進めただけじゃが?」
「はァァぁあぁあ!!!???」
また人ん家に無断で侵入しやがって・・・!ってか、また鍵かけるの忘れてたのか自分;;;
「何もしなかったら遅刻するでしょ?だから俺が仁王に頼んだんだ」
「今は6時5分。ちゃんと間にあっとるよ」
「き、君達ねぇ・・・」
一気に襲ってきた脱力感。
なんだよ、もう!あんなに必死に走ったの小4の運動会以来だよッ!!!
それより・・・他の皆、遅いな。真田とか柳とか柳生とかなら、もう来てても良いはずなのに・・・。
「ああ。真田と柳と柳生なら、他の遅刻しそうなメンバーを起こしに行ってるよ」
「・・・。うん。なんか、もう、いいや。慣れた」
ゆっきーに心読まれるのって何度だっけ?なんかもう、どうでもよくなってきちゃった。
そう思いながらも、私は間に合っていた事に安心し、他の皆が来るのを
仁王とゆっきーと一緒に待つことにした。
15分後、遠くからバタバタと足音が聞こえ、ふとその方向に視線を向ける。
そして角から現れたのは、真っ赤な髪とツルツル頭・・・そしてサラサラヘヤーに眼鏡の紳士。
まだ時間があるのに、どうして走っているのかは分からないけど・・・ま、朝から皆を見れたからいっかv
そしてブン太とジャッカルは、ゆっきーの前で止まったかと思うと
すばやく頭を下げて謝罪した。
「わ、わるい!幸村!ちょっと寝過ごしちまった・・・!」
「幸村、ごめん!時計がちょっと狂ってて・・・!」
「いいよ。時間には間に合ってるんだし。それより、二人ともお疲れさま」
「いえいえ、時間には余裕がありましたし、当たり前のことですよ」
「残るは弦一郎と赤也か・・・。ま、どうせ弦一郎が赤也に説教でもしてるんだろう・・・」
「おはよー皆vまだ時間あるから走らなくても大丈夫なのに」
少しだけ息をきらしているブン太とジャッカルを見てそう言うと
二人がものすごい形相で私を凝視してきた。
うわ、怖ッ!なんて失礼な事を思いながらも、
私は二人の目の前にいるゆっきーを見て、二人が全力で走ってきた訳を理解した。
「(自分を待たせる奴がそんなに許せないの?ゆっきー!!??)」
「まぁ、待たされるのは誰しも嫌だからね」
あー。ゆっきーとは言葉にしなくても会話できるや。
あははははは。すげーすげー。
そしてふと横を見ると、柳生が腕時計を見てふぅっとため息をついた。
あれ?柳生を久々に見た気がするのは気のせいだろーか???
「おや、あと10分もありませんね・・・。バスが出発する時間も迫ってきました」
「え、でもまだ赤也とおっさんが来てないよ!?」
柳生のバカヤロー!余計な事いうなッ!とか思いながら
ゆっきーに向かってそう叫び、顔色を伺ってみる。
するとゆっきーはため息をついてこう言った。
「まぁ、あの二人なら走って合宿所まで来ても大丈夫そうだしね。
置いていこうか?」
「(お、鬼ぃぃぃぃい!!!!)」
酷すぎるぜ、ゆっきー・・・。そうもあっさりと副部長と可愛い後輩を見捨てるのかッ・・・!
「ん?何か言った?美賀さん」(笑顔
「いーえ!さっさと行きましょう、部長殿!!!」(即答
うう・・・ごめんよ赤也(ついでに真田)。無力な私を許しておくれ・・・!
そして部長様がバス停に向けて、一歩踏み出した時でした。
「ま、待ってください!ぶちょー!!!」
「ゆ、幸村!遅れてすまない!!!」
「赤也!おっさん!!!」
道の角から赤也とおっさんが登場。全速力でこちらに駆けてきてまた。
よかったぁvこれで赤也と合宿できる!!!
なーんて思ってる私の横は、恐ろしいことになっていました。
「集合時間7分前・・・。いい度胸してるね、二人共・・・」(黒
「「ッ・・・!!!」」(滝汗
うわー、鬼が出ちゃったよ;;;ブラックオーラが充満してるよ;;;
表情を見るのが恐ろしくて顔があげられず
私は少しでも鬼から離れようと、ちょっとずつ移動しました。
しかし
「美賀さんでさえ25分前に来てたのに・・・ねぇ、美賀さん?」
私にふるなーーーーーーーーー!!!(泣
とは思っても、やっぱり声には出せません。(どうせ心読まれてるんだろうけど・・・)
私は幸村様の顔色を伺いながら、小さく返事をしました。
「あ、はい。そうでございますね・・・」
「全く・・・少しは美賀さんを見習ったらどう?レギュラー落とすよ?」
「「す、すみません・・・」」
怖いよ怖いよ怖いよ。
助けて助けてお母さんッ・・・!
か弱い麗緒奈にこの雰囲気は耐えられませんッ・・・!!!
「まぁ、もうすぐバスが来る時間だし・・・こんな事してる時間が勿体ないから、もういこうか」
「そ、そうですよ!そうしましょう!!!」
腕時計を見ながら、ゆっきーがそう言ったので、すぐさま同意。
これ以上、ここに居たら窒息しそう・・・。
私達はバス停に急いで向かった。
***
「あ、ブン太!そのお菓子、ちょっとちょーだい!」
「これか?まぁ、いいだろぃ。そらよ」
「どーもーvあ、私のもちょっとあげる!」
「ん?カ●ルか。俺にもくれんかの?」
「いーよーvはい。わさび味」
「「やっぱ、いい」」
私達しか居ないバスの中で、遠足のようなやり取りをしている中
隅っこでどんよりと沈んでいる赤也&おっさん。
正直可哀想な気もするんだけど・・・隣で二人を密かに睨んでいる幸村様に逆らいたくないので
そのまま放置してます。
そして私が●ール(わさび味)を食べていると、後ろの席でふと柳が呟きました。
「そうだ美賀。合宿には氷帝と青学のマネージャーも来てるはずだが・・・上手くやれるか?」
「はい?」
そ、それは、どういう意味ですか?柳さん?
もしかして・・・イジメとかあったりするの!!??
ど、どーしよッ!そんなヒロイン的な展開、初めてだよッ!
靴に画鋲・・・は、ちょっと怖いなぁ。(古い)
あ、まさか二階からバケツで水をバシャーっと!?それは寒いッ!
ん?でも今、夏だから逆に嬉しい気も・・・
「ああ、勘違いしないように一つだけ言っておくが・・・
お前の言動で他のマネージャーに迷惑をかけずに過ごせるか?という意味だ。
お前を苛めるような馬鹿はいないからな」
「そ、そーっすか。うん。だいじょーぶだいじょーぶ・・・」
柳も結構毒舌なんだなぁ・・・。ゆっきーの次くらいに怖いんじゃないの?
ってか、私は悪ガキが何かかッ!?
ちょっぴり柳を睨みつけていると、前に居た仁王が急に話しかけてきた。
「ホントに大丈夫なんか、美賀?マネージャーの経験なんか、ゼロに等しいんじゃろ?」
「そ、そーだけどぉ・・・。3日間くらい、実際に仕事してみたしー・・・」
実はその通り。私はマネージャーの仕事経験なんて、ほとんどない。
ゆっきーにマネージャーに誘われて入ってから、仕事をしたのはたったの3日。
でも(ほぼ)問題なかったしだいじょーぶ!!!
「ってかさぁ、美賀は余計な事するからいけねぇんだよ」
すると行き成り口を挟んできたブン太。
前の席からひょっこり顔を出してこちらを怪しげな目で見てきた。
「あん?なんだって、ブン太?私がいつ余計な事したのよ!?」
「おまっ・・・!よくそんな事が言えるな!マネになった初日の事を思い出せよッ!!!」
「初日・・・ああ、もしかして『お茶目なジャッカルが白目むいて倒れちゃった事件』?」
「妙な名前つけんな!誰が原因だと思ってんだ!」
私がそう言うと、後ろ(柳の横の席)からジャッカルのつっこみが飛んできた。
誰って・・・?もしかして・・・
「わ、私が原因とでも言いたいの!!??」
「その通りじゃろ?ジャッカルが倒れたんは、お前さんの作った妙なドリンク飲んだから」
「妙って・・!私の作った『ジャッカルを美白にしちゃおう大・作・戦☆ドリンク(改)』のどこがッ!?」
「いちいち妙な長い名前つけるな!つーか(改)って何だッ!?」
「元の世界で美白になるドリンクを作ろうと試みたやつの改造版だから」
「その努力を他のことに向けろぃ」
「じゃかましいッ!で!?
何で私の『ジャッカルを色白にしちまえ計画☆最終兵器ドリンク(改)』が原因なのよ!?」
「なんか名前変わってんぞ!覚えられないんなら、最初から妙に長い名前つけんな!!!」
「ああ、もう!いちいち相手にするな、ジャッカル!話がそれる!」
「お前さんがそのドリンクに妙な食材入れて、ジャッカルに飲ましたからじゃろ?」
「ちゃんと食べ物しか入れてない!」
「当たり前だッ!怪しいもん入れてたら訴えてる所だぞ!?」
「落ち着けジャッカル。で?一体何入れたんだよ?」
「んーあんま覚えてないけどぉ・・・
とりあえず「ゴーヤ」と「蜂蜜」。「唐辛子」「梅干」あと・・・「「「ストップ」」」
「ん?何?」
「せめてよぉ・・・苦いのか甘いのか辛いのかすっぱいのか統一しようぜ?」
「えー、だってその方が健康によさそうじゃん」
「「「どこが!?」」」
私達がそんなやり取りをしている中、私の隣に座っていた柳生がため息をつきました。
「皆さん、少し静かにして下さい。後ろの二人の事をもう少し気遣って・・・」
「「「あ」」」
柳生の一言でやっと放置されていた二人を思いだし、そっと後ろを向いてみる。
するとそこには無念そうに下を向いたままの真田と
こちらを羨ましそうに見つめながら、ゆっきーの威圧のせいで動けないでいる赤也が居ました。
うわぁ・・・おっさんはともかく、赤也のすっごく視線が痛い・・・;
そんな事を思っていると、ふいにゆっきーと目が合いました。って・・・
「(怖ッ!!!!!!!)」(滝汗
一体何がそんなに気に食わなかったのかは分からないけれど
確実にゆっきーの機嫌はさっきより悪くなっていました。
そしてすぐさま顔を180°回転させ、なんとか避難。
もう、なんか幸村様の恐ろしい顔が脳裏に焼き付いて、さっきみたいな会話ができませんッ!!!
それはブン太と仁王、ジャッカルも同じらしく
結局私達はそれからバスが到着するまで一言も喋りませんでした・・・。
***
「やっと着いたぁ!」
バスが着いた瞬間、すぐさま沈黙のバスの中から脱出!はぁ、しんどかった怖かった・・・。
その後、皆がぞろぞろとバスから出てくる。(真田と赤也は最後ね)
すると、降りてきたゆっきーはものすごい笑顔でした。
って、あれ?何この人?さっきまで鬼みたいな顔してたのにッ・・・!?
「大丈夫か、精市。バス酔いは」
「ああ、蓮二。気付いてたのか。もう大丈夫だよ」(激笑顔
「(バ・・・)」
バス酔いーーーーーーーーーーーー!!!???
じゃあ、あの顔は酔って気分が悪かっただけっすか!?
はは・・・黙って損した・・・。(脱力
「さぁ、皆。他の学校と合流しようか」
「は、はーい・・・」
はぁ・・・この合宿、本当にどうなるんだろ・・・?
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あとがき
とりあえず合宿編スタート!
因みにバス内の席を解説するとこうです↓
幸村(間) 赤也 真田
(空席)
柳 ジャッカル
柳生 美賀
仁王 ブン太
幸村様は一番後ろの席の真ん中あたりに座ってます。(監視するため)
分かりにくくてすみません!